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概要

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静岡大学法科大学院教授 宮下 修一静岡県司法書士会に期待する 「あなたに寄り添う法律家」――静岡県司法書士会のホームページを開くと、この言葉がまず目に飛び込んでくる。 司法書士といえば、不動産登記に関わる仕事をするというのが社会一般のイメージであろう。このほかにも、法務大臣から認定を受けた認定司法書士であれば、少額の民事訴訟の代理もすることができる。これらは、まさにわれわれの身近に司法書士の姿を感じる機会であることはいうまでもない。 もっとも、いまや司法書士の活動の場は、それらにとどまらず大きく広がってきている。昨年、静岡県司法書士会と静岡県警との間で、両者が連携して、警察では解決が難しい相談があった場合に、常設の相談機関である「司法書士総合相談センターしずおか」の連絡先が記載されたパンフレットを配布するという取組みが開始された。さらに、全国レベルでの活動も活発に行われている。昨年3月には、東京・四谷の日本司法書士会館において日本司法書士会連合会主催の「消費者契約法シンポジウム」が開催され、私もコメンテーターとして参加させていただいたが、そこで公表された消費者契約法改正試案の策定や当日のシンポジウムの運営の中心となっていたのは、静岡県司法書士会のメンバーであった。 このように、静岡県司法書士会の近時の活躍のめざましさには、目をみはるものがある。また、そうした活躍を支えるために、年間に相当数の研修を実施するなど、自らが日々研鑽を積んでいることも忘れてはならない。 しかしながら、静岡県司法書士会単体での活動には、一定の限界があることも否めない。例えば、消費者団体訴訟等を行うことができる「適格消費者団体」は全国に13団体存在するが、人口380万人弱を擁する静岡県には存在しない。昨年12月には、人口200万人弱の岡山県に、弁護士会や司法書士会等、県内の各団体の協力により適格消費者団体が誕生した。静岡県においても、県内の消費者被害の現状や集団的な消費者救済を図るための消費者裁判手続特例法の制定等の状況を考えれば、個別の団体が協働して適格消費者団体の設立へ向けた動きを加速させていく必要があろう。 このように、各種の団体や機関の間の壁を越えて手を取り合って進めていかなければ実現しない課題はいくつも存在する。その意味では、先号の本誌に掲載された静岡県司法書士会の杉山陽一会長と静岡県弁護士会の大石康智会長の対談において、それぞれの活動や役割について相互理解が図られたことは、大いに注目されるところである。 今後も、静岡県司法書士会が、社会の中で連携を図りつつさらに大きくウィングを広げながら、われわれ一般の市民に寄り添ってくれる法律家としての役割をより一層発展させていくことを、強く期待したい。vol.114 ホーツーあなたに寄り添う法律家?? 静岡県司法書士会