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概要

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司法書士 西村 やす子氏司法書士 青島 学海氏外国人向け相談窓口などに配布し、県司法書士会の常設相談窓口を紹介してもらうようお願いしました。西村/正直、司法書士はセルフブランディングが得意ではないと思うんです。素晴らしいことができていても、それが世の中にしっかり発信できていないのは残念。これは私たちの大きな課題ですね。青島/課題といえば、矛盾するかもしれませんが「実際に相談を受けること」も重要です。知識を完全に身に付けてから相談に応じるのが理想ですが、そんなことを言っていたら、いつまでたっても実践できません。もちろん、相談者の人生を左右することもあり二の足を踏みがちですが、一歩踏み出さなくては、と思っています。榛葉/私は元来、それが司法書士業務なのかどうか、ということに強くこだわってきました。だから、空き家対策にしても少額債権回収にしても、司法書士の業務としてどういう位置づけなのかを自分自身が納得できないと前に進めなかったのですが、実験的なこのプロジェクトはそういう自分の殻を破るきっかけとなりました。コーディネーター/様々な課題はあるものの、皆さんまさに今回のテーマである「市民と共に歩む司法書士」を実践していらっしゃいますね。 榛葉さんのチームは、少額債権回収といった従来業務の拡充を行う一方、空き家対策として従来のやり方とは違うユニークな取組みをされていらっしゃるそうですが。榛葉/親の相続や施設への入所により空き家になってしまったが、売るに売れない、貸すに貸せない、壊すに壊せない……といった個々の事情がある場合が多いんです。こういった個別の問題に配慮するには、従来の売り方や貸し方では何の問題解決にならないと思うんです。西村/同感です。移住定住問題でも、行政が首都圏に相談窓口を設けていますが、個々の案件に対してはコンサルティング能力を持った民間と連携すべきだと思います。榛葉/従来、空き家を売ったり貸したりする場合は綺麗にリフォームする必要があり、それが大家さんの負担となっていました。しかしこのプロジェクトは、「何もせずそのまま貸してください」がコンセプト。大家さんの負担が軽減でき、入居者も安い家賃で住むことができます。また、保証人を付ける必要がないような仕組みも考えています。青島/ブラジル人住民の方の中にも、不動産を持たれる方が徐々に増えてきています。これから年齢を重ねていくにつれ、空き家や相続の問題も出てくるでしょうね。コーディネーター/こうした目標の立て方や進め方は、企業では当たり前かもしれませんが、司法書士の世界では私の知る限り例がありません。 今現在、どのような取組みを中心に行っているのか、クリアしていきたい点など、お聞かせいただけますか?榛葉/空き家対策では、従来の常識を超えなければならないため、大家さんに趣旨をしっかりと説明し、理解していただけなくてはなりません。入居者が自由にリフォームをすることに対し、不安に思う大家さんの気持ちも理解できますからね。 住宅困窮者を対象にしているため保証人も不要となると、賃料滞納にどう対応していくのかもクリアしなければならない課題です。青島/月に一度、120もの外国人からの相談事例がまとめられた書籍を利用して疑似相談を受けています。半分くらいは日本人からの相談と変わらないように感じますが、中にはまったく知らなかったことも書かれているので、大変勉強になりますね。アドバイザー/常識を変えることができれば、確実に一歩前に進めるんです。今までの司法書士からすると当たり前の慣習も、一般的にみると非常識なのかな。そういう部分は打ち破る必要がある。みなさんは今、頑張って打ち破ろうとしていらっしゃるんですよね。西村/私たち司法書士が何をしてあげられるか、ではなく、相手が私たちに何をしてほしいと思っているのかが重要なんですよね。アドバイザー/ようやく行政も?伴走型支援“を大々的に打ち出しました。一緒に悩んでくれて泣いてくれる人。一度きりの支援ではなく、いわば「寄り添う支援」が大切。何かにつまずいたときどうするのか、どう手を差し伸べればよいのか。 そこを司法書士が窓口になることで、問題がたらいまわしにされることなく各専門家に振り分けられ、解決に導いてくれるのは本当に心強く、嬉しいことだと思いますよ。vol.114 ホーツーあなたに寄り添う法律家静岡県司法書士会??