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概要

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衆議院議員大口 善徳氏コーディネーター司法書士中里 功氏大口 善徳氏発車でした。改善すべき点も多く、とてもとても司法書士だけでは困難で、あらゆる専門家の力が必要でした。学会は成年後見に関わる様々な方に力添えいただき設立。まさにオールジャパンの集まりだと思います。コーディネーター/成年後見制度はドイツが優れているようですが、今回の法改正との関連はいかがでしょうか?大口/ドイツと比べて、日本の利用率は格段に低いんです。厚労省の推計では、平成37年には認知症患者数が約700万人に達すると予測される中、成年後見制度の担い手をもっと育成しなければなりません。制度が施行されてから現在まで16年間、何の見直しもなかったことも利用率の上がらない理由のひとつでしょう。大貫/ドイツから多くのことを学びました。例えば、世話人協会です。行政から委託を受けて後見人を育成・供給する民間組織ですが、それをモデルにリーガルサポートの設立に至りました。コーディネーター/立法に至るには、課題の改善や現場の不具合などのきっかけがあったかと思います。実務の立場から、法改正がなぜ必要だったのかをお話いただけますか。西川/本当に必要な人が利用しやすい状況になっていないと感じていました。成年後見制度といっても、それまでにあった「禁治産」「準禁治産」制度のリニューアル版。裁判所への申立ては親族しかできないなど制限が多い制度でした。生活保護を受けていたりわずかな年金しか収入のないような方も、日々の生活を維持していく上で後見人が必要となる場合があるのですが、そもそも資産が少ない方が利用することを想定していない……そこが大きな問題だったと思います。大貫/あとは、所管庁があいまいなことも弊害といえるでしょう。運用全体を所管する単独の省庁がないため、リーガルサポートや学会が問題を提起し改善を求めても、なかなか届かないんです。届かないから改善されない、改善されないから利用者が増えない。国と行政、民間が三位一体となって判断能力の弱い方々を保護する体制がないといけないというのが、最初のきっかけですね。西川/もともとは財産管理を軸とした法律だったため、医療同意や身元引受人を求められても、それができないということも苦労のひとつです。ただ、身寄りのない方の場合、実際の現場では求められます。現場で「できない」と伝えると「役に立ちませんね」と言われてしまうことも。このミスマッチを、どう解決すればよいのか悩ましいところです。社会全体で支え合うための市民後見人制度コーディネーター/成年後見制度利用促進法の中で取り上げられている「市民後見人」についてお話しいただけますか?大貫/ドイツに行って驚いたのは、制度が始まった当初から市民後見人がいたということ。親族や専門職後見人だけでなく、市民参加で制度を育てていくしくみを知ることができ、日本にも市民後見人を法的に位置づけ育成する必要があると感じたのです。西川/介護保険と同様、成年後見制度も家族だけで担うのではなく、社会全体で支えるという発想が新しい理念のひとつだったので、市民後見人は必要不可欠。平成12年は親族による後見人が9割と大半を占めていましたが、現在は専門職を含む第三者が7割になりました。 そうそう、この「市民後見人」という言葉。今では当たり前に使われていますが、実は大貫さんが命名されたんですよ。コーディネーター/利用促進法成立の2日前に、成年後見事務における郵便物の転送や死後事務について規定する法律も制定されました。法制度の限界や現場でのご苦労などありましたらお聞かせいただけますか???vol.115 ホーツーあなたに寄り添う法律家静岡県司法書士会