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概要

ho2vol115

西川 浩之氏大貫/身寄りのない方の葬儀を引き受けたことがあります。ただ、法的権限がとても曖昧で、さて、葬儀にいくらかけるのか? 宗派は? 相続人は誰か?など様々な問題が起こっていましたが、今回の民法改正によって一定の権限が与えられました。細かなことはこれから検討されると思いますが、良くなっていくことは確かです。西川/亡くなると同時に、被後見人の財産は相続人のものになりますので、後見人は何もできなかったんです。死亡後の事務は、理論上でいうと第三者にはできない。だからと言って放ってはおけません。家族がいないからこそ第三者が後見人となっているんですから。大貫/郵便物についても、法改正によってかなり問題が解決されました。家庭裁判所の許可があれば、郵便物を直接後見人まで転送でき、開封できると明文化されましたね。西川/はい。成年後見人宛ての郵便物について、6か月以内の期間を限定して成年後見人が転送を受けることが可能となり、成年被後見人宛ての郵便物を成年後見人が開封する権限があることも明確にされました。コーディネーター/立法へのきっかけは、ある懇談会だったとお聞きしています。どんな議論が行われたのか、ぜひお聞かせください。大口/あれは平成22年12月10日のことでした。地元静岡で、政治連盟の方々やリーガルサポートの方々と懇談し、成年後見制度の運用面において、見直しが必要ではないかという議論になったのです。西川さんとは、あのとき初めて懇談したんでしたね。西川/そうでしたね。懇談前の会議は、消費生活相談がメインテーマだったのですが、生活保護の方たちが成年後見制度をうまく利用ができていなかったり、市役所の窓口で成年後見人からは精神福祉手帳の更新が申請できないと言われたりして、後見人として期待されていることができないことが多いという話をさせていただきました。大口/この制度は、資産のある人のためのものというイメージがありました。親族がない、金銭的余裕がない方々にも成年後見人が必要だということをお話しくださったのが、とても印象的でした。学会とリーガルサポート2つの思いが奇跡的な融合を遂げたときコーディネーター/懇談会が平成22年12月10日、プロジェクトチームの立ち上げが12月22日と、かなりスピーディな対応でしたが、たくさんの陳情があるなか、この成年後見制度の見直しを先に取り組まなくては、と大口さんが感じたのはなぜだったんでしょうか。大口/成年後見制度は、高齢者と障がい者を支えるための仕組みとして、介護・高齢者福祉、障がい者福祉の各制度と「車の両輪」をなすものであり、この視点をしっかり認識して推進していかなくてはと思いました。 また、この問題は法務省、厚労省、総務省、最高裁の各所管であるため、10 年間見直しされなかったともいえます。こういった場合は、議員立法で進めるしかないと思ったのです。西川/その頃、リーガルサポートは設立10周年として各地で記念行事を行っていました。そんな中で、成年後見制度の現状の課題について、振り返る場面がたくさんありました。それが自分の頭の中にもインプットされている状態で懇談会になったためお話させていただいたんですが、弁護士でもある大口さんは民法も熟知されているので、成年後見制度の問題点をすぐにご理解いただけました。 その懇談会が確か金曜日で、週明けの月曜にプロジェクトチーム立ち上げの動きがあると聞いて、あまりの早い対応に驚きました。大貫/平成22年10月に日本成年後見法学会主催の「第1回成年後見法世界会議」が行われたのですが、やはりそこでも日本の利用が少ないことが指摘されました。ドイツやイギリスの著名人から「大丈夫か」と言われ、衝撃が走ったんです。この利用促進法は、世界大会での衝撃がきっかけのひとつでもあったと思っています。 世界大会後に、学会の中でも法律を作ろうとする動きが起こり、日本司法書士政治連盟を通して公明党にはたらきかけました。本当に大口さんには感謝しています。コーディネーター/実際に動き始めてからも、様々なご苦労もあったかと思いますがいかがでしょうか。大口/永田町ではあまり関心がなかったのが実際のところです。やはり、法務省と厚労省、それに総務省が入って議論をしなくてはならないため、それをまたがって考えるためには、すべてを理解することが必要です。また、内??vol.115 ホーツーあなたに寄り添う法律家静岡県司法書士会