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概要

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中里 功氏特集1座談会大口 善徳氏 × 大貫 正男氏 × 西川 浩之氏コーディネーター/中里 功氏「成年後見制度・新時代へ!」閣部会も関与し議論していかなくてはならないため、進めるにあたりどこかが積極的に動けばよいのですがなかなかそうはいかなかったんですね。 そんな永田町も、平成25年3月14日に成年後見人の選挙権はく奪が違憲であると東京地裁が判決を下した裁判を機に、関心を持ち始めました。マスコミも注目し、私も積極的に推進し、同年5月27日には選挙権回復の議員立法を成立させることができました。大貫/皆さん何度もおっしゃるように、とにかく問題点が多すぎました。でも、ひとつひとつを個別に改善していってはダメなんです。大きな仕組みを作らなくてはならない。問題点が解決に向かうための国が主導する公的な支援体制の整備が不可欠だったということです。コーディネーター/司法書士は、成年後見制度を専門職として担っているわけですが、広義で見ればごく一部の関わりではないかと思います。その中で司法書士界が法改正運動をリードできたことについてはどうお考えでしょうか。西川/司法書士としては個別案件を行う中で、制度自体に欠陥があると常々感じていました。現在、選任される成年後見人等の27%は司法書士です。現場をよく知っている司法書士としては、個々の案件を解決するのはもちろん、この制度の不具合を伝えるのも任務だと思っていました。大口/司法書士の皆さんは、成年後見制度に関し、とても熱意があるんです。経営的側面ももちろんありますが、それを度外視して献身的に取り組んでおられるのを感じました。リーガルサポートという組織を作ったのもすごいことですよ。大貫/平成11年に成年後見制度がスタートしたときは、理念と使命がはっきりしていませんでした。今回初めて「地域社会で支える」という目的が明確になり、責任の所在もはっきりしました。また、ノーマライゼーションや自己決定権の尊重といった理念も利用促進法に盛り込まれました。今までバラバラだったものが体系的に繋がったんです。 これによって私たちが進むべき道がはっきりしました。まさしく第二のスタート。画期的なことだと捉えています。西川/言ってみれば「器」ができた。我々の意見を受け止めてくれるところができた。でもこれはスタートに過ぎないと考えています。もっと成年後見を必要としているすべての方たちに利用しやすい制度となるようにしていかなくてはならない。そのためにも、現場の声を利用促進委員会に伝える責任が、司法書士にはあると思っています。ですから、「この法律ができてよかった」という気持ちと「これからが本番だ!」という気持ちのふたつがあります。大口/今、スタートラインに立ったところです。これからも現場の声、利用者の声が反映された誰でも利用できる制度にしていくために、継続的にフォローをしていきたいと思っています。コーディネーター/それでは最後に、成年後見制度を取り巻くすべての方々に向けたメッセージをお願いいたします。大貫/この法律は、すべての国民がそれぞれの家庭や地域で参画してもらい、関わることでいずれは利用する側になる可能性もあるわけです。「誰かがやってくれる」ではなく、それぞれがそれぞれの立場で関わってもらい、皆で支え合う社会になっていければと思っています。西川/いくつかの法律からできていて、わかりにくい制度だったと思います。でも、高齢化ひとつをとってみても、家族や自分も直面しうる問題なのです。ですから、もっと気軽に利用してもらえるといいなと思いますしわからないことは司法書士に相談してほしい。これからもっともっとよい制度になると期待しています。大口/障がいを持っている人も持っていない人も、同じように生活できるよう社会全体で支え合うことが高齢社会における喫緊の課題であり、共生社会の実現にも資するものです。 利用者の多いドイツと少ない日本。何が違うのかをしっかりと議論して、安心して利用できる制度にしていかなくてはなりません。この制度の担い手を育成し、一人ひとりに光をあてた成年後見制度は、非常に重要であることを国民の皆さんにもご理解いただき、市民後見人になって社会を支える側になろうという方が増えることを願っています。政府も家庭裁判所も、自治体やNPOなどの民間団体もお互いに協力してそういう社会を作っていくことが大事だと考えます。また、公的支援の拡充や不正防止対策もしっかり行っていかなければなりません。??vol.115 ホーツーあなたに寄り添う法律家静岡県司法書士会