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概要

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2特集2 「しずおか未登記シンポジウム」の開催 具体例としてあげられていた一つが住宅ローン申込みの場面です。子どもが金融機関から融資を受けて住宅を新築する計画を進めていました。建築設計の打ち合わせは最終段階まできていたのですが、ここで問題が発生します。住宅の敷地(担保物件)が既に亡くなっている祖父名義であり、その相続登記の難航により融資が受けられず建築計画は白紙になってしまったのです。親が相続登記をしておいてくれれば・・・。 子供が思わずそう嘆いてしまう事案でした。津波被害による高台移転を早急に進めようにも、移転先の土地が相続未処理などの問題を抱えており移転事業に大きな遅れが出ている。中間貯蔵施設予定地で、地権者二千四百人のうち、約千二百人分の土地が相続登記未了などで所有者不明。 これらは、東日本大震災の復興事業において実際に問題になり新聞報道もされた事例です。災害への備えという点でも相続登記はとても重要なのです。子どもたちの未来への影響災害時の復旧・復興への影響コーディネーター 久保ひとみ パネラー 白井聖記(司法書士)                     伊藤 彰(土地家屋調査士)                     吉原祥子市民生活への影響は?第二部 パネルディスカッション「子どもたちの未来と未登記問題  ?となりの土地は名無しのごんべえ」 このシンポジウムでは、専門家の方々の丁寧な説明やわかりやすいスライドがあり「未登記はやっぱり子どもに迷惑!」「災害に強いまちにするには登記が不可欠!」といった大切なことが、一般市民の皆さんにもきっと伝わったのではないでしょうか。 この大きな社会問題を解決していくためには、制度ができることを待っているだけではなく、私たち市民一人一人が意識を変えていくことも重要ですね。 子どもたちの未来のため、私たちの大切なふるさとを守るためにこれからも未登記解消を呼びかけていけたらと思っています!久保ひとみさんからのメッセージ 今回のシンポジウムは、市民の方々に登記の大切さを知っていただくための工夫が随所にちりばめられていました。 とくに第二部のパネルディスカッションでは、登記をすることが、自分のためだけでなく、子ども世代や地域みんなのためにも重要であるということが、多くの事例を使ってわかりやすく紹介されました。ともすれば専門的で堅苦しい話になりがちな登記や地図の話が、久保ひとみさんのさわやかな司会と工夫されたスライドのおかげで、とても楽しい話になったのは驚きでした。 また、司法書士と土地家屋調査士の方々から同時にお話を聞けたという点でも、今回のシンポジウムは貴重でした。権利の明確化と地図作成が互いに不可分であることを改めて実感しました。 登記の問題は目に見えづらく、普段なかなか学ぶ機会もありません。人口減少・高齢化が進む中、土地の権利と管理を次の世代にどう引き継いでいくのかについて、一人ひとりが考えていく必要性は今後ますます高まっていくでしょう。 今回のような取組みが、他の都道府県でも広がっていくことを期待します。吉原祥子さんからのメッセージ 第二部では、未登記問題が市民生活にどのような影響を及ぼすのか、子どもたちの未来、そして災害復旧という二つの場面における事例を題材に、久保ひとみさんと専門家三名によるパネルディスカッションが行われました。?(2) (1)11 vol.116 ホーツーあなたに寄り添う法律家静岡県司法書士会