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概要

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日本司法支援センター静岡地方事務所(法テラス静岡)副所長 伴 信彦 総合法律支援法が平成16年に成立し、法テラスがスタートしました。司法書士の皆さんには、設立当初より、法テラスの事業の一つである法律扶助について、法律扶助制度の利用者として、また法律扶助審査委員として一翼を担っていただいています。総合法律支援法が改正され、平成30年度より高齢者・障害者を対象とした「特定援助対象者法律相談援助事業」が始まります。この事業は出張相談となります。成年後見分野で一翼を担っている司法書士の皆さんが、是非この事業で活躍されることを願っています。 司法書士は「街の法律家、身近な法律家」と言われることがあります。どのようなイメージでしょうか。私はかつて、先輩からこんな話を聞きました。 司法書士が昼食を終えて事務所でくつろいでいると、エプロン姿、サンダル履きで近所の奥さんがかけこんできました。「先生たいへん、たいへん、こんな書類が郵送されてきた。」司法書士と顔を突き合わさんばかりの勢いでした。司法書士が書類を受け取ろうとした時、奥さんが一言、「先生、昼ギョーザ食べた?」 いかがでしょうか。適切な事例かどうかわかりませんが。普段着で事務所に駆け込んでくる。約束もせずに。それでも司法書士は対応しようとして、顔を合わせる。その時の一言が、依頼者と司法書士の近さを表していると思います。昔は、自宅の庭の上がり淵に、机とタイプライターを置いて仕事をする司法書士もいましたが、最近では、事務所もビルの一室であったり、自宅を改築したりとそれなりの構えになりました。約束をして依頼者と面談することが通常であり、紹介した事例のようなことはないかもしれません。市民の皆さんが、法的問題を抱えた時、「そうだ。司法書士のところに」と思ってもらえるよう市民の皆さんとの近さを大切にしていただければと思います。 代書屋と書くと、嫌な顔をされる司法書士の皆さんも多いと思います。テレビ番組の話で恐縮なのですが、某テレビ局で「ツバキ文具店?鎌倉代書屋物語」が放送されました。内容は、手紙の代書をするものです。初回は知り合いのペットが亡くなったのでお悔みの手紙を書いて欲しいという依頼です。依頼を受けた主人公は、ありきたりの内容で手紙を書き、依頼者に確認を求めます。その内容に依頼者は激怒し、書き直しを命じます。そこで、主人公は、ペットを飼っていたご夫婦に会います。子供がいないご夫婦で、子供のようにかわいがり、生きがいであったことがわかります。また、奥さんは、その死を受け入れないでいることもわかります。その上で改めて手紙を書き直します。司法書士の書類作成業務も、依頼者から事情を聴き取り、依頼者と相手方の関係性や生活歴も聴き取ります。場合によっては、現場に行くこともあるでしょう。その上で、内容証明を作成したり、裁判所への訴状や申立書を作成したりしています。この主人公と司法書士が重なり、代書屋と呼ばれるのも悪くないのではと思いました。市民の皆さんの思いを受け止め、その思いをしっかりとした文章にして、相手方に伝える。書類作成業務は、奥が深い業務であり、この分野でも多くの司法書士の皆さんに取り組んでもらえることを期待しています。 司法書士会では、「法テラスカード」を作成して、生活困窮者担当の窓口に法テラスカードを置き、相談者が法テラスカードを持参して登録司法書士に相談するよう促し、相談を受けた登録司法書士は、相談内容が法律扶助案件であれば法律扶助を利用して処理するとの話を伺いました。書類作成業務の件数が伸び悩んでいるなか、この取組みには、法テラスとしても関心をもっています。法的問題を抱えながらも法的サービスにたどりつけない人たちの救済にもなります。「法テラスカード」が県下に周知されるよう期待しています。司法書士の皆さんには、街の法律家として市民の皆さんとの近さを大事にして、市民の皆さんの思いを届けるよう日々業務に励んで下さい。応援します。司法書士会!  法テラス設立から10年 街の法律家と言われ 代書屋と呼ばれ 終わりに司法書士会を応援します!vol.117 ホーツーあなたに寄り添う法律家1 静岡県司法書士会