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概要

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相続FFAAQQ vol.117 ホーツーあなたに寄り添う法律家7 静岡県司法書士会こんなときどうする?  いいえ、法定相続情報証明だけでは払戻しに応じてもらえません。 相続人が被相続人の預金口座を解約する場合、金融機関は、法定相続人の範囲を確認するため、相続人に対してQ2の書類の提出を求めます。 法定相続情報証明は、法定相続人の氏名、生年月日、続柄等を公的に証明する書類であって、Q2の戸籍一式に代わるものです。この書類により法定相続人の範囲を容易に確認することができます。 しかし、法定相続情報証明は遺産分割協議書に代わるものではないため、相続人全員の署名と実印が押された遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書を提出し、実際に預金を相続することとなった相続人を特定する必要があるのです。1. かつての考え方 預貯金債権について、かつては「当然に法定相続分に応じて分割相続されるものであるから遺産分割の対象とはならない。このため、各相続人は自身の法定相続分に相当する金額の払戻し請求が可能」という裁判例があり(最高裁平成16年4月20日判決ほか)、金融実務においても、この考え方にしたがって払戻しに応じていました。2. 判例変更 ところが、平成28年に重要な判例変更がありました。 最高裁は、預貯金債権について「相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となると解するのが相当」と結論付け、従来の考え方とは逆の考え方を採用したのです(最高裁平成28年12月19日決定)。 この際に判断の対象となったのは、銀行や信用金庫等に対する「普通預金」のほか、ゆうちょ銀行等に対する「通常貯金」「定期貯金」だけでしたが、その後「定期預金」や「定期積金」についても同様の判断をする裁判例が現れています(最高裁平成29年4月6日判決)。3. 遺産分割協議書の提示が必要 このように、預貯金債権は当然に相続分に応じて分割されないことになりましたので、遺産分割協議成立の前に法定相続分のみの払戻し請求をしたとしても、金融機関は応じてくれません。遺産分割協議がまとまるまで、口座はすべて凍結され、払戻しに応じてもらえないと考えておくべきでしょう。法定相続情報証明があれば遺産分割協議書はなくても預金の払戻しに応じてもらえるのでしょうか?いいえ、法定相続情報証明だけでは払戻しに応じられません!法定相続情報証明法定相続情報証明があれば、遺産分割協議書はなくても預金の払 戻しに応じてもらえるのでしょうか?遺産分割協議がまとまっていなくても、法定相続分の払戻しに応じてもらえるでしょうか?QQAAQQAA33 44