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概要

HO2.vol118

「委託者」【図Bの①】ご自身の財産の管理を、信頼できる第三者にお任せしようとする方「受託者」【図Bの②】委託者から財産の管理を任された方「受益者」【図Bの③】委託者が、受託者に財産を有効活用してもらうことにより、生活の支援をしてもらいたいと考える方。委託者自身であってもよいし、複数名でもよい■どんな財産が対象になるの? 不動産や現金が一般的です。事業承継を検討するようなケースでは、株式を信託することもよくあります【図Bの④】。■どんなとき、民事信託が使えるの?〔例〕 ア)知的障害のある子を持つ親御さんのケース日々の生活費の面倒をずっと看てきたけど、親御さん自身も高齢となり、親亡き後の子どもの生活が心配。   イ)賃貸物件を所有するオーナーさんのケース毎月の賃料で生計を維持しているが、認知症になった後のマンション経営は?   ウ)内縁関係にある熟年カップルのケース彼女には相続権はないが、私が死んだ後も、彼女が元気でいるうちはこの家に住まわせてあげたい。彼女も亡くなれば、あとは子供たちで自由に処分してくれて構わない。■「もしも」への備えのひとつ 委託者が自分で財産管理をせず、わざわざ受託者に管理させるのはなぜか? それは、認知症や死亡など自分自身による財産管理が限界に達したとき、受益者の日常生活に支障が生じては困るからです。 「もしも」への備えが、民事信託なのです。■重要なのは、民事信託を利用して「何を守るか?」 「もしも」への備えが必要なのは、「守るべきもの」があるからです。 「何を守るための信託か?」という点は委託者の想いそのものであり、民事信託では「信託の目的」【図Bの⑤】として、とても重要な要素に位置付けられています。■「信託の目的」達成のため、受託者を規制する 受託者による財産管理もまた、「信託の目的」に適っていなければなりません。 受託者の行動を制約するため、委託者は希望する管理方法を具体的に指定することができます。■最大の特徴は、受託者への所有権の移転 財産管理というと、所有権は移らずに管理権だけが移るのが一般的ですが、民事信託は違います。「信託財産の所有権が受託者に移る」ことが、最大の特徴です。 もっとも、受託者が取得する所有権は「委託者の指定する制約の範囲内」に限定されるわけですね。■実質的な利益は受益者に帰属 また、信託財産の活用によって得られる利益は受益者に帰属します。この点に注目すると、受託者には「形式的所有権」だけが移り、「実質的所有権」は受益者に移るとも考えられますね【図C】。 この結果、信託が成立すると受益者に贈与税が課税されることになる点には、十分な注意が必要です。■3類型にわかれる 民事信託は、委託者と受託者との契約によるほか、委託者の遺言によることもできます。 また、公正証書を利用した「自己信託」という特殊な方法もあります。「どんな方法で活用 すればいい?」3 受益者契約条項により、受託者の行動を制限1 委託者民事信託の仕組みを知ろう!5 642 受託者支援図-B私の財産のうちの■と▲の管理をあなたに任せるから●●の生活のために活用してね!●アパートは収益物件として管理●施設に毎月支払いを!●毎月、こづかいを○円●老朽化したアパートは解体、土地を売却して現金化して!●面倒な確定申告もお願い!委託者受託者受益者所有権の移転贈与税実質的譲渡形式的譲渡図-C~ココを押さえれば 「民事信託」がわかる! 「民事信託」のイロハ民事信託の登場人物は?3vol.118 ホーツーあなたに寄り添う法律家静岡県司法書士